大規模チームのマネジメントで学んだリーダーシップ論【失敗から得た10の教訓】
大規模チームのマネジメント経験から学んだ、失敗と成功の全記録を公開します。

この記事で得られること

✅ 少人数→中規模→大規模チームのマネジメント経験
✅ 失敗から学んだ10の教訓
✅ 成功した5つの施策
✅ 1on1の具体的な進め方
✅ おすすめのマネジメント本5冊
対象読者: 管理職、チームリーダー、マネージャー候補
マネージャーになった経緯

Phase 1: 5名チームリーダー(27歳)
きっかけ:
プロジェクトリーダーに任命される
メンバー構成:
- エンジニア4名
- 自分(リーダー)
初めてのマネジメント:
- 技術リーダー的な役割
- マネジメント研修なし
- 手探り状態
Phase 2: 20名マネージャー(31歳)
きっかけ:
部署再編で20名のマネージャーに昇格
メンバー構成:
- エンジニア15名
- 営業3名
- 事務2名
マネジメントの壁:
- 全員の仕事を把握できない
- 1on1の時間が取れない
- 評価に悩む
Phase 3: 大規模チーム部長(38歳)
きっかけ:
DX推進責任者として大規模チームのマネジメント
メンバー構成:
- 直属: 10名(マネージャー)
- 間接: 70名(一般社員)
組織構造:
部長(私)
├ マネージャーA(10名)
├ マネージャーB(15名)
├ マネージャーC(12名)
└ ...(計10名のマネージャー)

失敗から得た10の教訓

失敗1: マイクロマネジメント(信頼を失った経験)
何をしたか(27歳・5名リーダー時代):
- メンバーの仕事を細かくチェック
- 「ここはこうした方が良い」と頻繁に指摘
- 自分のやり方を押し付ける
結果:
- メンバーの自主性が失われる
- 「リーダーの指示待ち」体質に
- 離職者1名(最も優秀なメンバー)
教訓:
**「任せる勇気」**が必要
- 70%のクオリティでOKとする
- 失敗させて学ばせる
- 結果だけを見て、過程は任せる
改善後の方法:
Before: 「〇〇を△△の方法でやってください」
After: 「〇〇をお願いします。やり方はお任せします」
失敗2: 全員に同じマネジメント(個別対応の重要性)
何をしたか(31歳・20名マネージャー時代):
- 全員に同じ頻度で1on1(週1回)
- 全員に同じフィードバック方法
- 「公平」を重視しすぎた
結果:
- ベテラン社員: 「週1の1on1は不要」
- 若手社員: 「週1では足りない」
- 満足度低下
教訓:
**「個別最適化」**が必要
- メンバーのタイプ別にマネジメント変える
- 経験・性格・状況に応じて柔軟に
改善後の方法:
| タイプ | 1on1頻度 | フィードバック方法 |
|---|---|---|
| ベテラン(10年以上) | 月1回 | 簡潔に、尊重する |
| 中堅(3-10年) | 週1回 | バランス良く |
| 若手(1-3年) | 週2回 | 丁寧に、褒める |
| 新人(1年未満) | 毎日 | 手厚くサポート |
失敗3: 1on1の形骸化(意味のない面談)
何をしたか(31歳・20名マネージャー時代):
- 1on1で「困っていることはない?」とだけ聞く
- メンバーが「特にないです」→終了
- 30分の枠が10分で終わる
結果:
- 1on1が形骸化
- 本音が聞けない
- 離職の予兆に気づけず(3名離職)
教訓:
**「質問力」と「傾聴力」**が重要
改善後の1on1フォーマット:
【1on1のアジェンダ(30分)】
0-5分: アイスブレイク
「最近どう?プライベートで何かあった?」
5-15分: 業務の振り返り
「今週の仕事で、良かったこと・困ったことは?」
「何かサポートが必要なことは?」
15-25分: キャリアの話
「1年後、どんな仕事をしていたい?」
「今後身につけたいスキルは?」
25-30分: フィードバック
「今週のあなたの仕事で、〇〇が素晴らしかった」
「△△はもっとこうすると良くなる」
質問例:
- 「今の仕事で、一番やりがいを感じる瞬間は?」
- 「逆に、ストレスを感じる瞬間は?」
- 「チームで改善したいことは?」
- 「私(上司)に対して、改善してほしいことは?」
失敗4: 評価の甘さ(厳しい評価の必要性)
何をしたか(33歳・20名マネージャー時代):
- 全員に「良い評価」をつける
- 成果が出ていないメンバーにも甘い評価
- 「嫌われたくない」という心理
結果:
- 優秀なメンバーの不満(「あの人と同じ評価なの?」)
- 成果の出ないメンバーが改善しない
- チーム全体のモチベーション低下
教訓:
**「厳しい評価」**も愛情
改善後の評価方法:
評価基準を明確化:
S: 期待を大きく上回る(上位5%)
A: 期待を上回る(上位20%)
B: 期待通り(50%)
C: 期待を下回る(20%)
D: 大きく下回る(5%)
評価面談での伝え方:
悪い例:
「今回の評価はCです。頑張ってください」
良い例:
「今回の評価はCです。理由は3つあります。
1. 〇〇プロジェクトの納期遅延
2. △△の品質問題
3. チーム連携の課題
ただ、あなたには期待しています。
次のクォーターで、以下の3つに取り組んでください。
1. ...
2. ...
3. ...
私もサポートします。一緒に頑張りましょう」
失敗5: 自分で全部やろうとする(委譲の重要性)
何をしたか(35歳・20名マネージャー時代):
- 重要な仕事は自分でやる
- メンバーに任せると不安
- 結果、自分が激務(月80時間残業)
結果:
- 自分が疲弊
- メンバーが成長しない
- 組織のスケールができない
教訓:
**「委譲」**がマネージャーの最重要スキル
委譲の4ステップ:
Step 1: 何を委譲するか決める
委譲OK:
- 定型業務(報告書作成、データ集計)
- 育成したいスキル(プレゼン、交渉)
委譲NG:
- 評価、採用、解雇
- 経営層との重要な交渉
Step 2: 誰に委譲するか決める
選定基準:
- スキルレベル: 70%以上できる人
- モチベーション: やりたいと言っている人
- 時間的余裕: 余裕がある人
Step 3: 委譲する際の説明
「〇〇さんに、△△の仕事をお願いしたい。
理由は、あなたの〇〇スキルを伸ばしたいから。
期限は〇月〇日。困ったらいつでも相談してね」
Step 4: 進捗確認とフィードバック
- 週1回の進捗確認
- 困っていることをヒアリング
- 完了後にフィードバック
委譲後の変化:
- 自分の残業: 月80時間 → 月20時間
- メンバーの成長: スキルアップ
- 組織の生産性: 30%向上
成功した5つの施策
施策1: 週次1on1の徹底
内容:
- 全メンバーと週1回30分の1on1
- アジェンダは事前共有
- Notionで記録
効果:
- 離職率: 15% → 3%(80%削減)
- メンバー満足度: +40pt
- 課題の早期発見

施策2: OKR導入
内容:
- 四半期ごとにOKR設定
- Objective(目標): 1-3個
- Key Results(成果指標): 各3-5個
例:
Objective: DX推進で組織の生産性を向上させる
Key Results:
1. 業務時間を20%削減
2. Slack活用率を90%以上に
3. ChatGPT利用者を200名に
効果:
- 目標の明確化
- チーム全体で同じ方向を向く
- 進捗の可視化
施策3: 月次全体会議
内容:
- 月1回、全メンバー(大規模チーム)参加
- 成果発表、表彰、情報共有
- オンライン+オフライン
アジェンダ:
1. 先月の振り返り(10分)
2. 今月の目標(10分)
3. 成功事例発表(20分)
4. 表彰式(10分)
5. Q&A(10分)
効果:
- 組織の一体感
- ナレッジ共有
- モチベーション向上
施策4: メンター制度
内容:
- 新人には必ずメンターをつける
- メンターは中堅社員(3-5年目)
- 1on1(週1回)+ランチ(月1回)
メンターの役割:
- 業務サポート
- 相談相手
- 社内ネットワーク構築支援
効果:
- 新人の定着率: 95%
- 新人の立ち上がり期間: 30%短縮
- メンターも成長
施策5: 社内表彰制度
内容:
- MVP賞(四半期ごと)
- ベストチーム賞
- チャレンジ賞(失敗を称える)
表彰基準:
MVP: 最も成果を出したメンバー
ベストチーム: 最もチーム連携が良かったチーム
チャレンジ賞: 失敗したが学びがあった取り組み
効果:
- モチベーション向上
- 挑戦する文化
- 失敗を恐れない組織
おすすめのマネジメント本5冊
1. HIGH OUTPUT MANAGEMENT(アンドリュー・S・グローブ)
学び:
- 1on1の重要性
- アウトプット最大化のマネジメント
評価: ⭐⭐⭐⭐⭐(必読)
2. エンジニアのためのマネジメントキャリアパス(Camille Fournier)
学び:
- テックリードからVPまでのキャリアパス
- 1on1の具体的な進め方
評価: ⭐⭐⭐⭐⭐
3. 1兆ドルコーチ(エリック・シュミット)
学び:
- Googleを支えたコーチの哲学
- 人を動かすリーダーシップ
評価: ⭐⭐⭐⭐
4. ザ・コーチ(谷口貴彦)
学び:
- 目標設定の重要性
- ビジョン→目標→行動計画
評価: ⭐⭐⭐⭐
5. Team Geek(Brian W. Fitzpatrick、Ben Collins-Sussman)
学び:
- HRT(謙虚・尊敬・信頼)の原則
- チームビルディング
評価: ⭐⭐⭐⭐
まとめ:マネジメントの3つの本質
1. 信頼関係が全ての基盤
- 1on1で本音を聞く
- 約束を守る
- メンバーを尊重する
2. 個別最適化
- 全員に同じマネジメントはNG
- タイプ別に対応を変える
- 柔軟性が重要
3. 委譲とフィードバック
- 自分で全部やらない
- メンバーに任せて成長させる
- フィードバックで軌道修正
著者について
DX・AI推進コンサルタント
大手企業グループのDX推進責任者・顧問CTO | 長年のIT・DXキャリア | AWS・GA4・生成AI活用を専門に実践ノウハウを発信中
#マネジメント #リーダーシップ #チームビルディング #組織運営
最終更新: 2025年11月9日
この記事を書いた人
nexion-lab
DX推進責任者・顧問CTO | IT業界15年以上
大手企業グループでDX推進責任者、顧問CTOとして活動。AI・生成AI活用、クラウドインフラ最適化、データドリブン経営の領域で専門性を発揮。 実務で培った知識と経験を、ブログ記事として発信しています。