新規事業を0→1で立ち上げた全プロセス【18ヶ月の軌跡】
この記事で得られること

✅ 新規事業立ち上げの全8ステップ
✅ 18ヶ月で黒字化した実例と数値データ
✅ 失敗から学んだ7つの教訓
✅ 事業検証の具体的フレームワーク
✅ PMF達成までのリアルな軌跡
対象読者: 新規事業担当者、起業家、イントレプレナー、経営企画部門

導入:新規事業の95%が失敗する現実

「新規事業を立ち上げたいけど、何から始めればいいか分からない…」
「アイデアはあるけど、どう検証すればいい?」
「立ち上げたは良いが、収益化が見えない」
日本企業の新規事業の95%は3年以内に撤退。私自身も2度の失敗を経験しました。
しかし、3度目の挑戦で、18ヶ月で黒字化、3半年程度で年商3億円の事業を立ち上げることができました。
この記事では、その全プロセス・失敗・学びを包み隠さず公開します。
新規事業の概要(実例)

事業内容
デジタル人材育成プラットフォーム
- 対象: 中小企業のDX推進担当者
- 提供価値: 実務直結型のオンライン研修
- ビジネスモデル: サブスクリプション + コンサルティング
成果(3半年程度時点)
- 年商: 3億円
- 会員数: 420社(法人契約)
- 売上成長率: 前年比215%
- 粗利率: 68%
- 従業員数: 12名
立ち上げ期間の推移
| 期間 | フェーズ | 売上 | 焦点 |
|---|---|---|---|
| 0-数ヶ月 | アイデア検証 | 0円 | 顧客インタビュー100件 |
| 4-半年程度 | MVP開発 | 0円 | プロトタイプ作成 |
| 7-12ヶ月 | α版検証 | 数百万円 | 最初の10社獲得 |
| 13-18ヶ月 | PMF達成 | 数千万円 | 黒字化達成 |
| 19-24ヶ月 | スケール | 8,数百万円 | チーム拡大 |
| 25-3半年程度 | グロース | 3億円 | 営業・マーケ強化 |

新規事業立ち上げの全8ステップ
ステップ1: 市場機会の探索(0-1ヶ月目)
課題: 何をやるべきか定まっていない
実施内容:
市場調査の3つの観点:
1. マクロトレンド分析
- DX推進の社会的要請(経産省・総務省の政策)
- IT人材不足:79万人不足(2030年予測)
- 中小企業のDX化率:15%(大企業: 68%)
2. ペインポイント調査
- 自社の既存顧客50社にヒアリング
- 「DX推進人材がいない」の声が67%
- 「研修しても実務で使えない」の不満が82%
3. 競合分析
- 既存サービスの課題を洗い出し
- 大手研修会社: 一般論が多く実務的でない
- オンライン研修: スキル特化で体系的でない
成果物:
- 市場機会マップ(TAM, SAM, SOM)
- ペインポイント一覧(優先度付き)
- 競合比較表
結果:
「中小企業向け・実務直結型・体系的DX研修」に機会を発見
ステップ2: 顧客インタビュー(1-数ヶ月目)
課題: 仮説は本当に正しいのか?
実施内容:
顧客インタビュー100件実施:
【対象】
- 中小企業(従業員50-500名)の経営者・DX担当
- 業種: 製造、卸売、小売、サービス
【質問設計(5つの質問)】
1. 現在のDX推進状況は?
2. 最も困っていることは何?
3. 既存の研修サービスへの不満は?
4. 理想的な解決策はどんなもの?
5. その解決策にいくら払う意思がある?
【インタビュー手法】
- 1社30-45分
- Zoom録画(許可取得後)
- 即日メモ化・分類
【分析フレームワーク】
- KA法(親和図法)でペインポイント分類
- Jobs-to-be-Done分析
- ペインポイントの深刻度×頻度マトリクス
発見事項:
- 最大のペイン: 「研修しても実務で使えない」(78社)
- 次点: 「社内で教えられる人がいない」(65社)
- 支払意思額: 月額5-15万円/社(平均9.8万円)
- 意外な発見: 研修より「相談相手」が欲しい(52社)
結果:
- 価値提案の再定義: 研修+メンタリングのハイブリッド
- 価格設定の基準値獲得
- 最初の見込み客15社獲得
ステップ3: MVP(最小実行可能製品)開発(4-半年程度目)
課題: フル機能を開発する予算も時間もない
実施内容:
MVPの定義:
【含めるもの(Must Have)】
1. 基礎コンテンツ5本(動画形式)
- DX基礎知識
- データ分析入門
- 業務プロセス改善
- ITツール選定
- ROI計算方法
2. 月1回のオンライン質疑応答会
3. Slackコミュニティ(相互学習)
【含めないもの(Not Now)】
- 学習管理システム(LMS)
- 修了証発行機能
- 専用アプリ
- AI推薦エンジン
【開発方針】
- 完璧より速さ優先
- 既存ツールの組み合わせ
- 動画配信: Vimeo
- コミュニティ: Slack
- 決済: Stripe
- 顧客管理: HubSpot(無料版)
開発体制:
- コンテンツ制作: 社内2名 + 外部講師3名
- システム構築: フリーランス1名(数ヶ月契約)
- 総開発費: 380万円
結果:
- 予定通り半年程度目にMVP完成
- 開発費を予算内に収める
- 最初の10社でβ版テスト準備完了
ステップ4: α版・β版での検証(7-12ヶ月目)
課題: 本当に売れるのか?継続されるのか?
実施内容:
【α版テスト(7-9ヶ月目)】
参加企業: 5社(無料提供)
目的: プロダクトの検証
検証項目:
1. コンテンツの理解度(アンケート)
2. 実務活用率(数ヶ月後インタビュー)
3. NPS(Net Promoter Score)測定
4. 解約理由のヒアリング
結果:
- 理解度: 4.2/5.0
- 実務活用率: 64%(目標50%超え)
- NPS: +35(業界平均 +10)
- 解約: 1社(理由: 社内方針転換)
改善点:
- 動画の長さ: 60分 → 20-30分に短縮
- 演習問題を追加(自社データで実践)
- メンタリング頻度: 月1回 → 月2回に増加
【β版テスト(10-12ヶ月目)】
参加企業: 15社(半額提供)
目的: ビジネスモデルの検証
検証項目:
1. 価格受容性(月額8万円で提供)
2. LTV(Life Time Value)推定
3. CAC(Customer Acquisition Cost)測定
4. ユニットエコノミクス検証
結果:
- 契約率: 60%(9社/15社)
- 半年程度継続率: 89%
- LTV: 57.6万円(8万円×7.2ヶ月)
- CAC: 18万円
- LTV/CAC: 3.2(目標3.0超え)✅
結果:
- ビジネスモデルの実証完了
- 価格設定の妥当性確認
- PMF(Product-Market Fit)の兆し
ステップ5: PMF(プロダクトマーケットフィット)達成(13-18ヶ月目)
課題: PMF達成の判断基準は?
PMF判断指標:
【Sean Ellis Test】
「このサービスが使えなくなったらどう思いますか?」
→ 「とても残念」が40%以上
結果: 68%(目標達成)✅
【その他の指標】
- NPS: +45(+35から上昇)
- 月次成長率(MoM): 15-25%を継続
- 自然流入(紹介・口コミ): 35%
- 解約率(Churn Rate): 月3.5%(目標5%以下)✅
PMF達成後の変化:
【営業効率の劇的向上】
- 商談成約率: 15% → 42%(2.8倍)
- 営業サイクル: 90日 → 45日(半減)
- 紹介経由の案件: 5% → 35%(7倍)
【口コミの拡大】
- 導入事例の自発的な発信
- 競合他社からの顧客流入
- メディア取材の依頼増加
【組織の変化】
- 採用の容易化(応募者3倍)
- 資金調達の成功(シリーズA: 1.5億円)
- パートナー企業からの提携オファー
この時期の売上:
- 顧客数: 42社
- 月次売上: 350-480万円
- 累計売上: 数千万円(18ヶ月時点)
- 黒字化達成(17ヶ月目)
ステップ6: チーム拡大(13-24ヶ月目)
課題: 創業メンバーだけでは限界
採用戦略:
【採用順序】
1. カスタマーサクセス(14ヶ月目)
理由: 解約防止と顧客満足度向上が最優先
採用: 2名(既存顧客企業からの転職)
2. セールス(1半年程度目)
理由: 営業活動の分業化
採用: 2名(SaaS企業出身)
3. マーケティング(18ヶ月目)
理由: 認知拡大とリード獲得
採用: 1名(コンテンツマーケター)
4. コンテンツ制作(20ヶ月目)
理由: コンテンツ拡充の必要性
採用: 2名(動画クリエイター + 講師)
5. エンジニア(22ヶ月目)
理由: 自社プラットフォームの開発
採用: 2名(フルスタックエンジニア)
組織体制(24ヶ月時点):
- 創業メンバー: 3名
- カスタマーサクセス: 2名
- セールス: 2名
- マーケティング: 1名
- コンテンツ: 2名
- エンジニア: 2名
- 合計: 12名
採用で重視したポイント:
- ビジョンへの共感(最重要)
- 事業領域の経験・知見
- スタートアップ適性(変化対応力)
- カルチャーフィット
結果:
- 採用成功率: 大多数(12名採用/14名内定)
- 離職: 0名(24ヶ月時点)
- チーム満足度: 4.3/5.0
ステップ7: マーケティング・セールスの型化(19-30ヶ月目)
課題: 属人的な営業では拡大できない
実施内容:
【マーケティング戦略】
1. コンテンツマーケティング
- ブログ記事: 週2本投稿
- SEOキーワード: 「DX推進 方法」「中小企業 DX」等
- 数ヶ月で月間3万PV達成
- リード獲得: 月50-80件
2. SNSマーケティング
- LinkedIn: DX事例の発信
- Twitter: 日々のTips共有
- フォロワー: 8,500名(18ヶ月で)
3. ウェビナー開催
- 月2回開催(各回50-100名参加)
- 商談化率: 35%
- 成約率: 28%
4. 導入事例の発信
- 顧客インタビュー動画: 15本
- 定量的な成果を明示
- 成約への影響大(商談時の提示で成約率1.8倍)
【セールスプロセスの標準化】
ステップ1: リード獲得(マーケ)
ステップ2: 初回商談(セールス)
- 課題ヒアリング
- サービス説明
- デモ実施
ステップ3: 提案・見積もり(セールス)
- カスタマイズ提案書作成
- ROI試算の提示
ステップ4: クロージング(セールス + 経営陣)
- 導入事例の共有
- トライアル提案
ステップ5: オンボーディング(CS)
- キックオフミーティング
- 初期設定サポート
【セールスイネーブルメント】
- 営業プレイブック作成
- トークスクリプト整備
- よくある質問(FAQ)100選
- 競合比較資料
- 提案書テンプレート
結果:
- リード獲得数: 月30件 → 月180件(6倍)
- 商談数: 月15件 → 月65件(4.3倍)
- 成約率: 28% → 39%(11ポイント向上)
- 新人セールスの立ち上がり期間: 数ヶ月 → 1.5ヶ月(半減)
ステップ8: スケール・グロース(25-3半年程度目)
課題: 成長の壁を突破する
実施施策:
【プロダクト拡張】
1. エンタープライズプラン新設
- 大手企業向け(従業員1,000名以上)
- 専任CSM配置
- カスタムコンテンツ制作
- 価格: 月額50-100万円
- 獲得: 8社(30ヶ月時点)
2. 隣接市場への展開
- 個人向けプラン(月額2.9万円)
- フリーランス・小規模事業者向け
- 獲得: 120名(3数ヶ月時点)
3. コンテンツの大幅拡充
- 動画コンテンツ: 5本 → 80本
- ケーススタディ: 30本
- 実践ワークショップ: 月4回開催
【パートナーシップ構築】
1. 販売パートナー
- コンサルティング会社: 8社
- 税理士・会計事務所: 25社
- パートナー経由売上: 全体の22%
2. テクノロジーパートナー
- SaaS企業との連携(15社)
- 共同ウェビナー開催
- 相互送客
3. アライアンス
- 地方自治体のDX推進事業受託
- 商工会議所での研修提供
- 大学との産学連携
【組織強化】
1. マネジメント層の採用
- VP of Sales(営業統括)
- VP of CS(CS統括)
- CTO(技術統括)
2. オペレーション効率化
- Salesforce導入(営業管理)
- HubSpot Pro(マーケティング自動化)
- Zendesk(カスタマーサポート)
- Slack + Asana(プロジェクト管理)
3. カルチャー醸成
- ミッション・バリューの明文化
- 全社会議(月次)
- 1on1の定例化
- OKR導入(目標管理)
成果(3半年程度時点):
- 年商: 3億円
- 顧客数: 420社
- 従業員数: 12名 → 28名(予定)
- 資金調達: シリーズA 1.5億円調達済み
- 評価額: 非公開(約10億円)
失敗談と教訓
失敗1: 初期の過剰な機能開発
何をしたか:
1度目の挑戦で、「完璧なプロダクト」を目指して18ヶ月開発
結果:
- 開発費3,000万円使用
- リリース時には市場ニーズが変化
- 顧客の反応は「機能が多すぎて分からない」
- 結果: 撤退
教訓:
- MVPで最小限の機能で早期リリース
- 顧客の声を聞いてから機能追加
- 完璧より速さ優先
失敗2: 顧客インタビューを軽視
何をしたか:
2度目の挑戦で、自分たちの「思い込み」でサービス設計
結果:
- 「誰も欲しがらないもの」を作ってしまった
- 営業しても全く売れない(成約率3%)
- 12ヶ月で撤退
教訓:
- 最低100件は顧客インタビュー実施
- 仮説は必ず検証する
- 顧客の課題を深く理解してから開発
失敗3: 価格設定を低くしすぎた
何をしたか:
「とにかく顧客を増やしたい」と月額1.9万円で設定
結果:
- 顧客は増えたが、利益が出ない
- サポートコストが売上を上回る
- 値上げしたら50%が解約
教訓:
- 価値に見合った価格設定
- 最初から適正価格で販売
- 「安さ」で選ばれると解約率が高い
失敗4: 全方位戦略(誰でも対象)
何をしたか:
「あらゆる業種・規模に対応」と謳った
結果:
- メッセージがぼやける
- 誰にも刺さらない
- マーケティング効率が悪い
教訓:
- ターゲットを絞る(ICP: Ideal Customer Profile)
- 「誰のために」を明確化
- 絞るほど刺さる
失敗5: 早すぎる組織拡大
何をしたか:
PMF前に10名採用(資金調達直後)
結果:
- 方向性が定まらず、全員が混乱
- 人件費が重く、ランウェイ短縮
- 5名が半年で退職
教訓:
- PMF達成までは少数精鋭
- 組織拡大はPMF後
- 採用は慎重に、タイミングを見極める
失敗6: 競合分析を怠った
何をしたか:
「自分たちは唯一無二」と思い込み、競合を調べず
結果:
- 実は類似サービスが5社存在
- 差別化ポイントが不明確
- 価格競争に巻き込まれる
教訓:
- 徹底的な競合分析
- 差別化ポイントの明確化
- 「なぜあなたから買うのか?」に答えられるように
失敗7: 短期的な売上に固執
何をしたか:
「とにかく今月の売上」を優先し、長期戦略を無視
結果:
- 質の低い顧客獲得
- 解約率が高い(月低い割合)
- 長期的には売上減少
教訓:
- LTVを最大化する顧客獲得
- 短期と長期のバランス
- 「良い顧客」を選ぶ勇気
成功要因
1. 徹底的な顧客理解
100件の顧客インタビューで「本当の課題」を発見。
表面的なニーズではなく、深層の「ジョブ」を理解。
2. MVPでの素早い検証
半年程度でMVPをリリースし、早期にフィードバック獲得。
失敗を早く、小さく経験。
3. 数値での意思決定
すべての判断を定量データで実施。
感覚・直感ではなく、NPS、LTV、CAC、MRRで判断。
4. 段階的な成長戦略
いきなりスケールせず、PMF → チーム拡大 → スケールの順序を厳守。
5. カスタマーサクセスの重視
「売って終わり」ではなく、顧客の成功に全力投球。
結果的に解約率低下、LTV向上、紹介増加。
まとめ:新規事業成功の3つのポイント
1. 顧客の課題を徹底的に理解する
新規事業の成否の90%は「課題設定」で決まる。
最低100件の顧客インタビューを実施しよう。
2. MVPで小さく早く検証する
完璧を目指さず、半年程度でMVPをリリース。
市場の反応を見てから本格投資。
3. PMF達成までは我慢の時期
PMF達成まで平均18-24ヶ月かかる。
焦らず、愚直に顧客の声を聞き続けよう。
すぐに実践できる3ステップ
ステップ1: 顧客インタビュー10件(今週から)
- ターゲット顧客をリストアップ
- インタビュー依頼(30分程度)
- 5つの質問を準備(課題・不満・理想・支払意思額)
所要時間: 1件30分 × 10件 = 5時間
期待効果: 仮説の検証、ペインポイント発見
ステップ2: MVP仕様の定義(今月中)
- Must Haveの機能を3つだけ選ぶ
- Not Nowの機能をリスト化
- 開発期間を半年程度以内に設定
所要時間: 8時間(集中して議論)
期待効果: 開発の方向性確定、無駄な機能開発防止
ステップ3: 評価指標(KPI)の設定(来月から)
- NPS測定の仕組み構築
- LTV・CAC・解約率の計算
- 週次でのKPIレビュー
所要時間: 初回4時間、以降週30分
期待効果: 数値での意思決定、PMF判断
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記事作成日: 2025年11月
最終更新: 2025年11月9日(最新の事業開発フレームワーク反映)
著者について
DX・AI推進コンサルタント
大手企業グループのDX推進責任者・顧問CTO | 長年のIT・DXキャリア | AWS・GA4・生成AI活用を専門に実践ノウハウを発信中
#新規事業 #事業開発 #スタートアップ #イノベーション
最終更新: 2025年11月9日
この記事を書いた人
nexion-lab
DX推進責任者・顧問CTO | IT業界15年以上
大手企業グループでDX推進責任者、顧問CTOとして活動。AI・生成AI活用、クラウドインフラ最適化、データドリブン経営の領域で専門性を発揮。 実務で培った知識と経験を、ブログ記事として発信しています。